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【書評】おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 このエントリーを含むはてなブックマーク

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)
(2008/03/10)
中島 聡

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Life is beautifulの中島聡氏の新書。

中島氏はマイクロソフトでWindows95、Windows98、Internet Explorer 3.0/4.0のチーフアーキテクトなどを務めた、高い実績と海外での知名度を誇るプログラマ。

アップルが考えるユーザーエクスペリエンス。
つまり、「おもてなし」が、ユーザーが心に響くと中島氏は述べている。
アップルの魅力とは製品以外のサービス、つまり、機能の本質を極めるだけではなく、
それを利用するユーザーの気持ちを意識した作りだ。

本書ではその「おもてなし」、ソニーとうまく比較して述べられている。

アップル:iPodの裏にシリアル番号を刻印する(あえてシールではない)
ソニー:Cell(ソニー、東芝、IBMによって作られたマイクロプロセッサ)に内蔵されているCPUコアは8個にしている。理由はコンピュータの世界では2のべき乗は美しい数字のため

の比較は、それぞれの美学の違いがはっきり表されていて、とても解りやすい。
どちれも機能の本質からは離れている美学なのだが、ベクトルの方向が異なっているのがおもしろい。
(が、本書では述べられていないが、PS3本体のスリットは空調より高級感を表現するために作られている。一概にソニーをこの例だけで方向性を判断するのは早計。)

この例からもわかるように、
多くの人がアップルに魅力を感じるのは、
機能外のユーザ視点の繊細なサービスであると思う。
こだわりのベクトルがユーザーにうまく突き刺さっているところが、成功の理由の1つなのだろう。


『この時代に必要なのは「ビジネスのことがわかる技術者」であり「ITのことがわかる経営者」である』


米国ではごろごろ存在しているようだ。
その存在を本書では「中間層」と表現されているのだが、
その「中間層」は日本のソフトウェア業界では非常に少ないとのこと。

製造業は多く存在し(当時の本田宗一郎氏のように)、成功を治めている企業が多かったりする。

日本のソフトウェア業では、ハードウェアの現場しか知らない人間が上層部となり、
現在のソフトウェアの世界の現場を知らない人が多数存在する事実がある。

作業の流れの改善から経営スタイルを変えることは、
技術視点からでないとできないことだし、
その改善を現場に求めても、現場の人間がビジネスを知らないと改善策など生み出せない。
もし、そこから改善策が提案されたとしても、
現場を知らない経営者が正しい判断が下すのは困難のはずだ。

ビジネスと技術を知る人間が、経営側、現場側にそれぞれ存在しないと、
問題解決に時間がかかり、企業の成長は難しいのかもしれない。


『そこまで独占なり参入障壁なりを作れるだけの能力をもっているマイクロソフトと、誰でもまねできるグーグルのどちらに価値があるか』


マイクロソフトとグーグルを比較すると、マイクロソフトに対して否定的な意見が述べられることが多いが、
定時で駐車場から車が消えても利益を上げ続けるマイクロソフトと、
深夜明かりが消えることなくプログラミングを組むエンジニアが存在した上で利益を上げているグーグルと
組織としてどちらが長けているか、という視点になると、マイクロソフトになると思う。

エンジニア視点での魅力度ではグーグルが上なのかもしれないが、
組織の仕組みとすれば、マイクロソフトがまだまだ上手なのだろう。

仕組みを整えて、エンジニアに対しても魅力がある会社を作ることは、
マイクロソフトからグーグルに技術者が流れている状況を見ると、
難しいのかもしれない。


『「上を見て」仕事をするタイプと、「天を見て」仕事をするタイプ』


「上を見て」とは上司をみること。「天を見て」とはお客様を見ること。
「天を見て」仕事をするためには、「上」を納得させ、時にはぶつかり、
自分の信条を持って貫く必要があるとのこと。

組織全体が「天を見て」仕事をしていれば、
ぶつかることも少ないだろうし、若い人の意見が反映され、
風通しの良い組織になると思う。

社内事情やら、上司の機嫌とりやら、根拠のない上司の意見の受け入れやら、
そういう本質とは明らかに掛け離れた感情が入り込むと、
良いものが生まれるわけはないだろう。

しかし、現実、組織にいるからにはそれは避けて通れないので、
その障害を自分都合で良いフィルターに捕らえ、
誘惑に負けず「天を見て」本質がずれてはいけないのだろう。


ひろゆき氏、古川享氏、梅田望夫氏との対談がそれぞれの個性がはっきりでていておもしろい。
中島氏はギークのイメージがあったけれども、
本書は技術寄りの視点ではなく、全体を俯瞰した内容であって、
非常にバランスがとれている方だと思った。

組織ともの作りに関係に興味がある方は必読。
もの作り以外の業種の方も、アップルのサービスを提供する視点はとても勉強になると思います。
推薦の一冊です。

以下抜粋。



・技術を極めた先にあるもっとも大切な差別化要因
・普通に人が使えないようなパソコンを作っている方が悪い
・ネットベンチャーにとってグーグルに買収されることがナスダックに上場するとの同じような意味を持つようになってる
・ものづくりの「こだわり」には2種類ある。作る方の自己満足と使う人の満足度をとことん上げるもの
・床屋の満足
・スティーブ・ジョブズはギークの心をつかむのが天才的にうまい
・アップルのようにソフトウェア+サービス+デザイン+おもてなし+ブランド力で徹底的な差別化をはなりつつ部品と製造は外部に頼る企業と、液晶の製造技術で勝負しているシャープのように特定の部品んお実装・製造技術および製造設備への積極的な投資により他社に追従できないまでの品質コストで勝負する企業に二極化していく
・今10社以上ある国産の携帯メーカの数が撤退・買収・統合で5年ほどで1,2社になっている可能性が高い
・デジタル放送へのシフトが100%終わる2011年には、「面白い番組は光ファイバーを通したビデオオンデマンドサービスでしか見られない」時代になっている可能性は十分高い
・この時代に必要なのは「ビジネスのことがわかる技術者」であり「ITのことがわかる経営者」である
・技術とビジネスの両刀使い
・日本の技術者たちはビジネスのことを意識して勉強しなければならないし、ビジネス側の人達は現在、ITの世界で何が起こっているのかをきちんと把握している必要がある
・建設業界の場合、穴の堀片は研究しつくされた技術であり工夫する余地は残っていない。99%クリエイティブな作業は設計完了で終了している。だからこそ設計段階でコストのかなりの精度で見積もることができるが、ソフトウェアはそうでない。極単純なアルゴリズムですらプログラマに委ねられる
・末端のひとりひとりのエンジニアまでも、経営に関わる重大な決定を日夜行っているのだ
・「僕らは何を作ろうとしてるのか」をわずか1ページの文章に纏めて3年間バイブルにしていた
・英語はいくつになってもはじめるのは遅くない。知識労働者にとって日々自分の人材市場で価値を高めることは必要
・暴力的なまでに強くなってしまったマスコミの影響力が、インターネットを介したパーソナルコンピューターにより相対的に弱まり、再び「自分の価値観を共有できる人の言葉を信じて行動する」という本来の生き方をとりもどす良いチャンス
・アプリケーションのウェブアプリ化の流れはとめられない
・イノベーションのジレンマ
・会社がある程度の大きさになるとスピーディーなイノベーションを起こすのが非常に難しい
・大企業は膨大な資金・人的リソースを最大限に活用して小さな企業が真似できない大プロジェクトに挑む
・多くの場合ベンチャー企業の存在は、大企業にとって格好のイノベーションの発掘場所になっている
・エグジットプラン どのように投資家へリターンをもたらすのか
・道路公団で働いていた人たちの大半は、今の通信事業者の人たちと同じく「インフラをよりよくすることが自分達の仕事」と使命感をもって熱心に仕事をしていた
・このままだとNGNは、ユーザーからのニーズが明確でないままインフラと技術だけが先に進むという、典型的なイノベーションのジレンマに陥る可能性がある。
・米国ベンチャーは米国で作ったものは世界で通用するとう楽観的な世界戦略がある
・日本を先進国の地位に保つのは教育しかない
・ブルーカラーの労働者に対して仕事の誇りと愛着を持たせること
・ユーザーにはっきり価値が見えるサービスを提供する企業にならなければならない
・死にものぐるいで働かないともたない会社と、午前9時から午後5時までダラダラ仕事をしても利益の上がる会社って、どちらに価値があるとすれば絶対に後者だと思う。仕組みで利益を生む構造のほうがいい
・学園祭みたいなのりで和気あいあい長時間やるのが好きであればグーグル
・そこまで独占なり参入障壁なりを作れるだけの能力をもっているマイクロソフトと、誰でもまねできるグーグルのどちらに価値があるか
・戦略的メリットがあることをやっている奴はかなり好き勝手なことをしても放っておくけど、間違った方向に進んでいる奴はパーンと叩く・友達がいるという事実はバーチャルもリアルも関係ない
・メディアがインターネットは良くないと言うのを真に受けて、価値を生み出しているのにその価値を否定している親の下で育つ以上しかたがないこと
・そもそも彼らが持っている情報と僕自身の情報は違う
・動画を見る人達が増えて、その中でコンテンツに触れて「買いたい」と思う状況を作る必要が出てくる
・結局、何が売れて何が売れないかというのは運
・お金で解決できない政治的な話
・初めてブロードバンドコンテンツがWinnyだった
・始めていきなりヒットすることはないので、継続する時間に見合うほどそのサービスが自分で面白いと思えるがどうか
・横のネットワークでお互いの発言に耳を傾ける、「パーソナルコンピューティング」という発想のもとに人間関係と社会構造を変えていく・確かにビル・ゲイツの決断力は凄い。どんなに膨大なリソースを投入していても、間違いに気がついたら即時にストップする
・ウィンドウズやオフィスで稼ぎまくったお金を捨てられなかったからこそ、グーグルが生まれてしまった
・インテリジェントドキュメント。要はどのように自分自身を表示するか、どんなふうにユーザーとやりとりをすればいいのか
・「上を見て」仕事をするタイプと、「天を見て」仕事をするタイプ
・(マイクロソフトは)自分がプログラムを書いていた時は朝から晩まで駐車場がいっぱいみんなに働いていたのに、今は朝に来たときにガラガラ、夕方帰るときにもガラガラ。一部の人はたいへんな危機感を持っている
・「天を見る」人が働きやすい環境が作れるかどうか
・「天を見る」ということはリスクも伴う
・「本当にそれでいいのか」と、自分は生産的なことに関わらないのに他人のブレーキを踏むような人たちが多い
・停滞すると、政治的な動きが目立ってしまう。会社が伸びているときは足をひっぱり合う暇もない
・(筆者)自分の軸足は会社ではなく個人にあるんだと
・(筆者のブログ)死語もずっとよめるようにしてくれ
・江戸時代から脈々と受け継がれている「個人と組織は一心同体」的な日本の常識・カルチャー
・米国は上の人が下の人たちを搾取する社会構造になっているという仕方のない現実
・外資に対抗できるような投資銀行を日本で育てて、国内でお金を回して本当の価値が生み出せるように市場を最適化する。中途半端なままだと、一方的に搾取されるだけ
・政府にしてみれば税金は、人間の行動パターンをコントロールできる道具になりうる
・テクノロジーの会社が伸びるのは、ギーク族の心をつかむのが上手なスーツがリーダーシップをとったとき、抜群のビジネスセンスを持ったギークがリーダーシップをとったとき、ギークとスーツが絶妙なコンビが組めたとき。
・ソフトフェアの中ではなく外をみて面白い、売れる、を判断する
・米国では技術のことをバッチリ理解しながら経営の深いところまで話せる人が多い
・大企業を飛び出したのはいいけど、どうしようもない下請けベンチャーみたいなところに入って日々苦しんでいる人もいる
・ビルゲイツの答がずれてしまう人は、ビルゲイツに「お前は何年ここにいるんだ」とメチェクチャに叩かれる。恐怖と教育が組み合わさった、本当に軍隊みたいな会社
・日本のエンジニアはナイーブというか「欲」がないぶん、損しているのではないか
・大企業で働いていると、良いものを作ったら突然「君、この後は管理職だよ」と言われてしまう
・スーツ・ギーク論よりハードウェア・ソフトウェア論の方が大きい
・国際的な競争力を持つほどに成長している産業には中間層のローモデルはいる
・会社の内部に、限定的にでもシリコンバレー的なメカニズムを作るしかない
・大きな環境変化の波が自分に押し寄せてきたときには逃げないとダメ
・ものよりも言葉や人に興味が強いし、1つの物事を深掘りするよりも、常に全体を俯瞰したくなるタイプだからギークの素質はない
・自分のキャリアと内面を調整できない人たちはすごく共感する


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  1. 2008/07/14(月) 00:00:00|
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